2011.9.25
【神奈川県】
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京浜急行日ノ出町駅から黄金町(こがねちょう)駅にかけてのガード下周辺には、数年前まで国の公認を受けたかのように、白昼堂々と営業する怖そうな売春施設がはびこっていました(通り抜けられるか不安になるほど)。
そんな無法地帯も、2009年「開国博Y150」開催に向けたバイバイ作戦(2005年)により、半年余りで全店閉店に追い込まれました(だったら早くやればいいのに)。
その後、町の再生に「アートによるまちづくり」を掲げ、まずは健全な人たち(?)に注目してもらおうと、2008年から年間行事として展覧会「黄金町バザール」を開催し、4回目の今年はヨコハマトリエンナーレ2011と連携開催されています。
期間中有効のトリエンナーレとの連携入場券を買ったので、慌てることはないのですが、この日は日本丸の総帆展帆(そうはんてんぱん:29枚すべての帆をひろげる)が見られることから、連休でしたし連チャンで足を運びました。
日本丸(Map)
帆をひらいた雄姿は初めて目にしましたが、やはり帆船には帆を張ってこそのカッコ良さがあります。
しかし難を言わせてもらうと、その背後にランドマークタワー等のデッカイ建物がそびえているため、大きさの比較相手がビル群とされるのは、いかがなモノかと……
この総帆展帆という姿には、大海原が似合うに決まってると思うも、どうやって見学するのか?
それにはやはり「一度でいいから乗船してみたい」という夢を抱き続けるしかないのでしょうね(かなり揺れそうですが……)。
日ノ出町〜黄金町(Map)
右写真の建物は、日ノ出町駅にほど近い路地裏にあり、以前訪れた際、映画『上海異人娼館/チャイナ・ドール』(1981年寺山修司監督)を想起した建物です。
長い間使われてなかったようですが1年程前から「竜宮美術旅館」となり、1階は喫茶店とされ、全体が美術展の会場になっています。
待ってました! と乗り込みます。だって中をのぞきたくなるでしょ?
名称通り旅館的な作りですが、寿町方面(ドヤ街)にある簡易宿泊所的ではなく、観光旅館的な雰囲気があります。
以前あった青線地帯のなごりを感じさせる建物ですから、まっとうな利用法は考えられません。
立地からもお察しの通り、戦後の米軍占領時に建てられた米兵専用の連れ込み宿だったそうです(再開発計画地域に含まれるので、取り壊し予定)。
歴史遺産には正も負も含まれるので、評価の高い建造物なら遊郭でも残されますが、チンピラみたいな建物ですから仕方ないのでしょう。
のぞきたい方はお早めに……
浴槽の中にライトを沈めた展示物のようですが、係の方が水面のあく取りをしていたので、人が入った時のように浮き上がってくるモノがあるようです。
この作品が何を訴えたいのかちょっと分かりませんが、この「米兵専用の連れ込み宿にあるタイル張りの浴室」を利用しただけで、人目を引き、印象に残る成功が約束されていた(内容はなんでもよかった、では言い過ぎか?)、と思えてなりません。
結局この会場では、この建造物に関する興味は大いに満足させられたものの、「何があったっけ?」とされてしまう展示物たちは、この建造物の存在感を超えられなかったことになります。
そりゃ仕方ないさ、歴史と境遇の重みが違うもの……
その一室で、畳に座り映像を観賞する女性の後ろ姿を撮りたいと思ったのですが、それをためらった自分には、この建物の歴史にその女性をはめ込んでいいのか? という気持ちがはたらいたかも知れません……
この白塗りされた建物は、以前売春施設として使用されていました(現在展示施設)。
一間程度の間口しかない入口から奧に細長い間取りが並ぶ、そんな用途のために設計された建物で、この地域の「標準モデル」といえます。
そこが今や、若い女性が何の警戒感もなく足を踏み入れる環境となったことに驚き、思わず係の人に「やりましたねー!」と声を掛けてしまいます。
「ここ3年くらいでようやくキレイになってきました」とのことですが、これはスゴイ事です!
このような取り組みを進めるために、地域、行政、企業、大学、警察の協力の元「NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター」が設立され、その組織が中心となり地域と連携し、クリエイターの活動拠点を管理運営しています。
ここに至るまでも大変な労力と思いますが、これからも拠点の拡大や地域のマスタープランづくりをアートを通してさらに推進する、という意気込みだそうです。
京浜急行の高架橋梁の耐震工事と並行してガード下に新しい施設が作られ、子どもたちの絵が描かれた工事用の塀があった場所にも新たな施設がオープンしています。
上写真はスタジオとされるアトリエ施設で、新しい施設ながらもそんな連中(アーティスト?)が出入りした途端、雑然とした空間と化した様子がうかがえ、生きた施設の印象を受けます。
そんな連中(さっきから失礼ですが親しみを込めたつもり)は結構フランクですから、気軽にのぞいたり立ち寄れる雰囲気があって、とっても明るく風通しのいい場になっています。
また、高架下は雨の日でも遊べるわけですから、これから児童館のような施設が増えていけば、明るい希望が見えてくるように思えます。
上写真は道路をはさんで大岡川(カメラの背後)に面した建物で、以前は外国籍の女性たちが川っぷちまでウロウロしていた場所です。
そんな面影を消し去ろうと、間取りは変えずも外壁を全面作りかえ、以前の雰囲気すら想像できないオシャレな外観が目を引きます。
ここまで明るくなれば、一間間口で仕切られた間取りを逆に活用し、小規模店舗として家賃を低めに設定してギャラリーや雑貨店などを誘致できれば、まるっきり生まれ変わった町の姿が、まだおぼろげな夢ですが見え始めるような気がしてきます……
以下は、ひとつの報道に踊りその日に書いたもので現実とは異なりますが、ひとつの願望として流して下さい。
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京急線がチラッと映っているので、ここでちょっと脱線。
毎年秋風が吹くころに流れてきては散っていく、プロ野球「横浜ベイスターズ」の身売り話ですが、今年もダメだろうと思っていたら、ここへきて大本命「京浜急行電鉄」が手を挙げました。
1社じゃ無理なので、地元企業が連合チームで買収に動き出すというのですから、チームもファンも地元も万々歳で、ファンじゃなくても応援したくなります。
この話が進めば、地元カラーも強まりますから、選手たちも奮起せざるを得ないでしょうし、ファンも(電車通ってないけれど)「赤い電車に乗って〜♪」見に来てくれるのでは?(ユニフォームが赤くなってもええじゃないか!)と期待するところです。
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と、はしゃいだものの一瞬のはかない幻でした。
とっても素敵な筋書きなので応援したい気持ちはありますが、地元企業が集まっても球団を支えられない「横浜経済圏」の規模の小ささを思い知らされた気がします……
「お嬢さん、ここは若い娘が一人で歩くような場所じゃないぜ」
右写真の光景は以前の様子と変わらないように見えますが、彼女がのぞく場所にはポツンと小さな展示会場があります。
狭い裏路地ですが、こういう所からも切り崩していくとは作戦が細やかなこと、と思うもそこには事情があるようです。
終後、ガード下にバラック小屋が建てられたのが始まりで、飲食店〜女性が客を取る店〜青線地帯〜特殊飲食店(売春施設)の変遷があるため、地権者等の権利関係が複雑で調査に時間がかかり、話し合いや買い取りが進まないとのこと。
それはヤクザな言い訳ですから、方向性を見失わず、慌てず地道に「新しい町」が作られていくことを、楽しみにしております。
すっかり明るくなった界隈を一回りし、希望を感じて日ノ出町駅に戻ると、そこにはとても現実的な「よどんだ雰囲気を漂わせる」人の流れがあります。
レースが終わったらしく、WINS(場外馬券売場)からはけてきたオヤジたちが駅に向かい流れてきます。
これまでも労働者の「癒しの町」としてにぎわってきた場所柄ですから(ストリップ劇場も健在ですし)、無法地帯を一掃しても、法律と相談しながらの「憂さ晴らしの町」という性格は、今後も変わらないのかも知れません……
右は以前の写真を物色したものですが(モノクロ、日ノ出町の表記あり)、核心部分のものは見当たりません。
おそらくそんな場所でカメラを構えたら、カメラばかりか身ぐるみはがれるような怖さがあったんだと思います……
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