2011/05/16

GWにGWが…… ──湘南海岸、下小山田

2011.5.4
【神奈川県】

湘南海岸(Map)

 連休で実家に帰った際、定番ながら鵠沼(くげぬま)〜茅ヶ崎の「湘南海岸サイクリングロード」を歩きました。
 歩き始めた途端、響き渡る轟音に「GW(ゴールデンウィーク)にGW(ジョージワシントン)が来てるのか……」と、空を見上げます。
 このシャレにならない不満は、神奈川県央地区・多摩地区で生活される方にはピンと来ることでしょう。
 これは横須賀に空母が寄港すると、厚木基地で米軍戦闘機の飛行訓練が盛んになり、飛行区域周辺の騒音がやかましくなることを意味します。
 ここ湘南の海でも、多摩センター近くの小山田でも同じようにやかましいのですから、その範囲の広さが理解いただけるでしょう(実家の相模原市も含まれます)。

 震災被災地への米軍の災害救助活動「トモダチ作戦:Operation Tomodachi」報道に隠れ、横須賀に停泊していたGWは、放射能汚染を避けるために佐世保に避難したとのこと(GWには戻りました)。
 軍隊を守るための判断とはいえ、原子力空母である自分たちは大丈夫なのか? とツッコミたくなります。
 ですが、自衛隊の総兵力約24万人のうち被災地支援が「10万人態勢」となれば、国防に当たる人員が半減し自衛不可能ですから、北朝鮮以外は妙な行動は取らないにしても、外敵を構ってられなくなります。
 そこで「体力の弱った同盟国をサポートする軍事力」として、横須賀にGWが構える陣形を維持することは、アメリカの存在感をアピールするには絶好のタイミングであり、見事な外交戦略と感心します(しかし平和ボケの日本人はそれを知らず、ありがたくも感じていません)。
 「何もGWに飛行訓練することはねぇだろ!」と思うも、それがグローバル化(連休関係なし)の一端であり、自国の防衛すら「米軍の保護下」でしか保てない(自立できない)ことを、思い知らされた気がします。


 仮に日本が米軍から自立したとしても、この機に乗じて北朝鮮もしくは話し合い不能な国がミサイルを撃ち込んできたら?
 日本人はおそらく、ミサイル被害を受けた地域の救援を最優先するも、当事国には反撃せず国連軍等の援護を待つのではないでしょうか。
 日本は、人民を守るための「最低限の軍隊」しか保持しないことは理解できましたが、外国からのミサイル攻撃を防ぐことも「国の威信」にかかわる大きな課題です。
 米国のいいなりだった政府はこれまで、その考え方について国民の意見に耳を傾けようとすらしていません。
 今回のような大災害で「頼りになる自衛隊」への感謝は大切ですが、国防をどう考えるのか? この経験を踏まえた国民の意見を聞いた上で、基地問題を再考する必要があるのではないでしょうか。(上写真奧は江の島)


 上写真は、砂浜の防砂柵に吹きだまった砂が流れ落ちる様子ですが、その形が中国西部の敦煌(とんこう)にある「莫高窟(ばっこうくつ:360年前後から千年近く利用された)の外観のように見えました。
 敦煌は古代シルクロードの要所で、仏教はインドからこの地を経て中国に伝来した事を示す、経典や古文書が多く残されています。
 莫高窟は垂直に浸食された山腹の崖にあり、背後の砂丘から押し寄せる砂に埋もれたおかげで盗掘からまぬがれたとも聞きます。

 写真左側に黒っぽい帯状の層が見えますが、おそらくその層が水分をためているため崩れにくく、その上部に柱状の砂が残されているようです。
 黒っぽい層は他では見られませんし、付近の遊歩道の砂が片けられ歩きやすかったことから、砂浜整備作業のショベルカー等で運ばれた粘土質のモノかも知れません。


 海岸を歩く立場からすると、砂を巻き上げる風はやっかいですが、しけ気味の海はサーファーにとっては好都合と思われます。
 風浪が強すぎてよくないのか、丘ではポイントを探すような黒装束を見かけますが、海に入っているサーファーは少ないようです。
 もし「放射能汚染水が流れてきたら」との心理であれば、その敏感さは海で磨かれたモノとも思えますが(ガブガブ飲んじゃうし)、夏の海水浴シーズンに「湘南海岸は人影もまばら」となったらどうしましょう?
 「沖縄なら大丈夫!」等、遠出する前向きな人が増えればいいのですが、風評被害の被害届を出しても、ここまでは面倒見てくれない気もするので、この辺でやめましょうね……(サザンの限定復活ライブ等が必要かも知れません)


2011.5.5
【東京都】

下小山田


 以前の小山田で会ったおじさんオススメの、となりの谷戸(丘陵地が浸食された谷地)を歩きました。
 隣接した環境でも、谷を縦断する自動車道の有無でこんなにも運命が変わるのか? との違いに驚きます。
 袋小路の谷より、谷を抜ける道路のある方が便利に違いありませんが、便利さは人を引きつけるので、それを守ろうとする勢力が多数派となり、道路が砦のように補強され谷戸を分断していきます。
 水の流れは保全されても、道路から眺めた左右の景色が別物と認識され、谷戸の魅力は半減してしまいます。
 おじさんが暮らす隣の谷では、川(湿地)に阻まれ足を運べなくても谷戸の全体像を見て取れました。

 自治体は「車でのアクセスが可能なので、公園も作れた」と言いそうな小山田緑地が、2つの谷を隔てる丘陵地にあります。
 時間が無く立ち寄りませんでしたが、人を集めることを目的とした公園施設らしく(グランドもある)、駐車場には多くの車が止まっています。
 結局おじさんは「公園よりもこっちの谷の方がよっぽどいい」との評判など、自分が暮らす谷の自慢をしたかったという気がしてきます……
 上下写真の周辺は道路で分断されても(上は川下に向かい道路の右側、下は左側)、以前からの原風景が見事に残されています。


 「鶴見川源流 泉ひろば」で終了のつもりでしたが(おじさんに振り回された感も)、今回で鶴見川シリーズは終了になります。
 横浜・多摩地区には、まだ素晴らしい「原風景」が残ることを知り、また歩きたい地域が増えたことをよろこんでいます。


追記──
 福島原発での「メルトダウン」(炉心溶融:原子炉内の核燃料が炉心の制御棒等を含めて融解すること)を認める衝撃的な発表がありました。
 その響きは1979年「スリーマイル島原発事故」を想起させ、また映画『チャイナ・シンドローム』(公開から12日後にその事故が起きた)タイトル引用元のジョークとされる、「アメリカの原発がメルトダウンを起こすと、溶けた核燃料が地殻を突き抜け中国まで達するかも」から、地球を貫通する状況をイメージしたことまで思い出します(現実には、地下水に触れ爆発を起こして収束するので、あり得ないようです)。

 原子力発電における最悪の事態を日本で起こしてしまったのですから、関係者の意気が「メルトダウン」するのは当然でも、原子力保安院をはじめとする研究者たちは、「絶好の研究対象」と目の色を変えて走り回り、海外からもそんな目で注目されていることでしょう。
 確かに「今後のため」に違いないのですが、その視線は地元民や日本人全体を「人体実験のモルモット(実験用の生体)」と見ています。
 原爆を落とした上で、放射能の人体への影響を広島・長崎で人体実験した米国ほど非道ではないにしても、「絶対安全」とすり込まれながら事故発生の途端、人類の将来のために国民がモルモットとしてさらされる惨めさを、敗戦の屈辱同様に国民に与えた「国策の過ち」を、政府は認める責任があります!


 夏の節電目標が当初の25%から15%に引き下げられました。
 これは現実的な数値と思えるので、何とか乗り切れるようにも思えます。
 ですが、近ごろ極端に暑い日はエアコンを入れてしまうので、それをどう我慢(回避)するかの課題(葛藤?)は、秋まで続きます。
 家庭での電力消費の50%強はエアコンだそうです。うちでは季節を問わず扇風機を使用していますが、エアコンも入れてしまいます……