2008/08/19

埋もれゆく尖塔──関内、馬車道

2008.8.15
【神奈川県】

 神奈川県庁:キング、横浜税関:クイーン、開港記念会館:ジャック

 横浜中心部の建物には、塔のようにとんがった建造物が多く、印象としては「チェスの駒」が散在しているように思えるのですが……
 横浜三塔と呼ばれる「キング:神奈川県庁(右写真左下の赤レンガの建物)」「クイーン:横浜税関(右写真右側の建物)」「ジャック:横浜市開港記念会館(右下写真の時計台)」のネーミングはトランプからきているそうです(チェスにジャックの駒はないそうです)。
 もとはと言えば、海から入ってくる船の目印的な役割のために、遠くからでも目立つような建物を作ったものと思われます。
 説明には、右のクイーンは税関なので国の建造物になり、左のキングである神奈川の県庁よりも低い建造物では威信が保てない、などの理由からこのような構図になったとありました。

 昔の航海では、陸地の特徴的な山や大きな建造物を目印に「やまたて」という方法で船の位置を把握していたので、この横浜三塔ができた当時これら以外に目印にできる建造物は存在せず「港のランドマーク」として、愛着を持って呼ばれていたことと思われます。
 上写真は海側から撮ったのでまだマシなのですが、陸側から見ると手前の建物にじゃまされて、すぐ前に来るまで見えなかったりします。
 ──小学生時代の社会見学で初めて県庁(キング)を目にしたのですが、3階あたりにある新館との渡り廊下が下のバス通りをまたいでいたことに驚いたのを、いまでも印象深く覚えています。
 右写真のジャックは海に面しておらず、周りをビルに囲まれていてそれを避けるのはちょっと難しい状況です。

 場所は違いますが、右写真で古い建物と現在の建物を比較すれば一目瞭然で、まるっきり建物の高さのケタに対する思想の違いが分かります。
 確かに以前の建物は、高くて4〜5階の母屋から塔がそびえている程度の高さしかありませんから、いまの時代に周囲は低いビルにしなさいなどという規制は、何も建てるなと言うに等しい状況です。
 この現状が悪いとも言い切れませんし、横浜の地で何が何でも古い建物の景観を守れだなんてちょっとピントが外れているかも知れません。
 背景にマンションが写り込んでしまう京都宇治の平等院とは意味が違うと思うので、どこかで接点を見つけるべきなのでしょうが、なかなか提案も難しいと思われます。
 町なかの観光資源ですから、どうしたら開発と景観保護の両立ができるのか、市民のみなさんのアイディアに期待したいところです。
 それにしても、昔の建造物には味がありますよね。


 馬車道


 上写真は馬車道に復元された水飲み場のモニュメントです。
 馬車道とは言え、牛車も通っていたことをアピールしたいようですが、「牛車道」ではインパクトに欠けると思われます。それも史実として認識しておきましょう。
 右写真は県立歴史博物館の塔の陰ですが、この建物が横浜で最も重厚な歴史的建造物ではないかと思われます。
 前回紹介した元町の厳島神社は、もとはこの近くにあった弁天様を移したものだそうで、博物館脇の弁天通にその名を残しています。
 ここは県立の博物館なので、神奈川県として胸を張れる鎌倉幕府についての展示も多くあり、それらを見ているとまた鎌倉を歩きたい気持ちが高まってきました。夏の人出が少なくなってから行こうかと考えています。


 工作船展示館


 記憶されている方も多いと思われる、2001年12月に東シナ海で起きた海上保安庁の巡視船との銃撃戦で沈没した北朝鮮のものと思われる工作船が、赤レンガパーク隣で展示公開されています。(上写真は工作船に残る弾痕)
 海上保安庁の好感度アップにつながった「海猿」の舞台となった桟橋での公開は、保安庁への人材的求心力には水を差すかも知れませんが、目の前にある現実をより多くの人に見てもらうにはとてもいい立地と思われます(若い人たちも結構見学していました)。
 ──晴海での最初の公開も見に行ったのですが期間が限定されており、もっと多くの人に見てもらうべきと、全国での巡回展示を提案したいと思っていたのですが……
 多くの人に見てもらって事を荒だてようなどとは考えてはいませんが、平和ボケと言われる日本人としては見ておく必要があると思われますし、これを見てから、どうしたらこのような事態を防げるのかを考えるべきではないかと思います。


 赤レンガ倉庫


 訪問前の心境として、舞鶴の赤レンガ倉庫群を見た後ではインパクトが弱まっているのでは? と心配していたのですが、ここの建物の方が大きい印象がある、というものでした。サイズについての詳しい数字は分かりませんが、2棟しかないのに存在感を示す姿には、なるほどと納得いたしました。
 キッチリと修復して、中にも店舗などが入っていて活気があるからかも知れません。
 何年か前にトリエンナーレなる展覧会で来たのですが、展示物よりも倉庫という舞台が一等賞との印象がありました。
 今年が開催年らしく、またそんな視点で観に来ようかと思っています。
 ──それではあまりにも失礼に過ぎるだろうか?


 横浜スタジアム

 テレビはそれほど見ないのですが、近ごろはオリンピック中継ばかりでニュースもまともに見られません。
 応援はしようと思うのですが、見始めるとついつい最後まで見てしまうし熱くなってしまうので(実況の声も騒がしいし)、見終わるとどうも疲れてしまうこのごろです。
 そんな時にとても助かるのがローカルのTVK(テレビ神奈川)のベイスターズ中継です。
 今年は特にだらしなく「プロ失格」やら「やめちまえ!」の罵声を浴びせられながらも、オリンピック中継の裏で淡々と消化試合(?)をこなしています。
 いやぁ、今の時期一番落ち着けるテレビ番組と言えるのではないでしょうか?
 ──ファンの方に怒られても仕方ありませんが、もう少し頑張りましょうよ!(右写真:横浜スタジアム)

0 件のコメント: