2010.11.3
【神奈川県】
より大きな地図で 鶴見川&里山 を表示
今回も引き続き、港北ニュータウンに整備された散策路を歩きます。
前回は、市営地下鉄中川駅から「くさぶえのみち」「ふじやとのみち」「せきれいのみち」途中の、仲町台駅まで。
今回は仲町台駅から「せきれいのみち」「ささぶねのみち」を通り、センター南駅まで歩きました。
この2回で5時間程度歩きましたが、まだ散策路すら一周してないのですから、その広さが伝わるのではないかと思います。
せせらぎ公園(Map)
横浜市のニュータウン開発計画からは、市営地下鉄の建設で沿線沿いの住宅地が線としてつながり、道路整備により面として広がることへの期待感が伝わってきます。
今回歩いてみて「それは成功している」との印象を受けたように、世間的にも「失敗」の声は聞かれないようです。
その成功要因を転入者の心理から考えると、お手頃な価格設定だったのかも知れませんし、「横浜」という耳当たりのよさと、「新しい町」(日本人は「新しもの好き」で「周りと一緒」であることに安心します)のしがらみのない自由な雰囲気に引かれたのかも知れません。
そこに付け加えたいと思ったのが、「多少不便でも自然に触れられる場所」を求める気持ちをつかんだからではないか、ということです。
宅地開発を目的としながらも、できるだけ開発前の里山に近い姿で自然環境を残そうとした取り組みが、身近な自然としてのバランス(さじ加減)にピタッとはまったように見えました。
これがベストではなくても、「休みに散歩できる」「自然に触れながら子どもが遊べる」環境の実現が、ひとつの成功要因に思えます。
子どもの多い町という印象に加え、どこの緑地からも子どもたちの歓声が聞こえてくる様子が、その答えという気がします。
1965年横浜市の開発計画発表から準備がスタートし、1974年土地区画整理事業の認可が下り工事着手〜1996年区画整理完了。これをもって港北ニュータウン計画は完了とされます。
都市開発とは、区画整理が終われば後はその土地を売って建物を建てるだけですから、大規模なもの以外は民間にもできるということなんですね。
わたしの思考パターンからするとこの辺で、「こんな急斜面を削ちゃって…」などと批判的なことを書きたいところですが、町を歩いてみると、開発によるプラス面の方が圧倒的に多く、ケチをつけるより感心しきりだったので今回出番は無さそうです。
区画整理にあたり、前回の「山田(やまた)富士」の石像撤去に関するものなど、さまざまな場所で多様な問題が発生したと思われますが、市側にはその都度キッチリと解決していく姿勢があったようです。
(文化の理解は欠如しているが)地権者との土地取引では、遺恨を残さぬよう振る舞ったようですし、環境保護を訴える反対運動も収束し、大きな問題なく事が運んだようです。
開発を行う際に、地権者の納得を得られたということは、それだけでプラス評価と言えるのでしょう(表に見えないだけか?)。
そしてプラス面の成果と言えるのが、前回紹介した虫送りの行事です(自治体側の言葉ですからよく書かれているのは当然ですが)。
以前からの住民と、新しく転入してきたと思われる子どもたちが、地域の行事で輪になれるのですから、地元以外の出身者にもその伝統を広めることができます。
まして若い世代に愛着を持ってもらえたなら、地元側は言うこと無しのはずです。
そのような伝統を見守ってきた里山の様子が、整備された姿とはいえこれだけ確保されていれば、子どもたちの遊び場として不足はないと思われます。
そんな場所でのびのびと遊ぶ子どもの姿を見れば、「いいところだろ! お前が気に入ると思って選んだんだ」などと、お父さんも鼻高々でバリバリ働く意欲がわいてくるはずです。
でもこの仕掛けは、明るい将来を描ける時代には完ぺきに近いシナリオとして、馬力のある景気浮揚エンジンとなってきましたが、現在ではその動力源を見失いかけている印象があります。
景気低迷が続く現在にこそ、景気浮揚の原動力を作り出す仕掛けが欲しいのですが、国民全体を潤わすことができるような「大プロジェクトX」って、ちょっとやそっとじゃ思い浮かびません(テーマが大きすぎて提案も出てこない)。
開発自体は成功裏に完了し、希望を抱いて転入した住民は、景気浮揚に貢献すべくバリバリ働いているのですが、将来の明るさというエサでもぶら下げてくれないと、息切れしてしまうのではないだろうか。
実態は、青息吐息のようにも思われます……
上写真2枚は、散策路沿いに整備された茅ヶ崎公園自然生態園(Map)内に、農家や水田の様子を再現した一画になります。
狭いながらも、田んぼ、稲わら干し、かかし、柿の木、炭焼き釜、シイタケ栽培の原木等、農家の周辺にあったものは一通りそろっています。
裏には、4分の1に割られた扇形の薪(まき)が積まれてあります。近ごろ目にする機会もないので、懐かしいというか暖かみを感じたりします。
実生活では使ったことはないので、それ以外の活動経験から「薪→暖かい」を学習したことになりますから、子どもたちにもそんな経験が必要であると言えるのでしょう。
いまどきは、まずは目にすることからスタートという気がします。
先ほどの田んぼで刈られたと思われる稲が、隣接する小学校のフェンスに干されています。おそらくここの生徒たちが、稲刈り実習で刈ったのでしょう。
以前センター南・北駅周辺を歩いたときに「実際の田んぼでの実地体験へと広げるべき」と書きましたが、知らなかっただけでやはりこの付近には、実地体験の機会が数多くあるようです。
そういえば出身小学校の花壇の並びに、小さな田んぼがあったような気がしてきました(土の下にビニールが敷いてあった)。きっとあれこれやったんだと思いますが、もう覚えてません。
そんな不真面目なガキは放っといて、印象に残っている人は必ずいますから、そんな人には必要な経験だったはずです。
と、言えた義理ではありませんが……
猛暑の影響でお米の品質が悪かったせいだろうか、外食ばかりですが近ごろ「あれっ?」と感じるほど、おいしくないお米に出会う機会が増えた気がします。そんなことありませんか?
この地域は首都圏の西部地区に当たり、東名高速道路、東海道新幹線新横浜駅、羽田空港(センター南・北駅から羽田空港行き直行バスあり)に近いので、西方面からの交通の利便性が高く、関西、名古屋から関東に移住する人々に人気が高いそうです。
そう言えば、関西弁を耳にしました。
東北・上信越からの玄関口が上野であるように、西方面からの玄関口は品川・新横浜となるのでしょう。
まだ先の話ですが、2027年開業を目指すリニアモーターカー(中央新幹線)の始発駅は品川に決まったようですが、神奈川県の停車駅は相模原市の橋本駅付近が有力候補と言われています。
工場しかなかった橋本に高層ビルが林立し、相模原に関西弁があふれる日がやって来るのかも知れません。
鴨池公園こどもログハウス(Map)
建物の中からこどもたちの大騒ぎする声と、ドタバタ駆け回る足音が聞こえてきます。
ここは「鴨池公園こどもログハウス」という施設で、中にはぐるぐるすべり台、ネットの遊具、地下迷路等々、大はしゃぎしたくなる遊具満載の遊び場です。
雨の日も遊べて、騒いでも怒られないというのは、子どもにとってはたまらない場所です(横浜市の各区にひとつあるそうです)。
しっかし、中はホコリだらけなんだろうと思うも、彼らには関係ないことですわね。でも、近所でインフルエンザが流行ると閉鎖されてしまうのでしょうから、気をつけないと……
散策路を歩く視線からは、尾根をつなぐ陸橋や、谷間を越えていく歩道など、元の地形を生かそうとする町づくりや、そこから生まれる景観の変化を楽しむことができました。
ですがここは丘陵地。平坦地に育った者には「坂のある暮らし」ってのはとても想像できません。
鶴見川をテーマとして歩くにあたり、丘陵地の多いことは覚悟しましたが(確かに近ごろ坂道ばかり歩いている)、それは休日の散策時に限られていますから。
朝の出勤時に坂を登るのは、目が覚めていいとは思いますが、疲れた会社帰りに坂道を登らされたら、帰るのがイヤになってしまいそうです……
0 件のコメント:
コメントを投稿