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横浜美術館(Map)
トリエンナーレとはイタリア語で「3年に一度」の意味で、ここでは3年に一度開かれる国際美術展覧会の意。
第5回展となるヨコハマトリエンナーレ(わたしは3回目)の会場は「横浜美術館」「新港ピア」のみで、大掛かりな作品も少なく規模縮小の印象を受けます。
一般的な現代アート展に比べると「何で?」と思うほどの入場者で盛況に見えるが、規模が大きく運営費もかさむためか、第2回展は資金難から1年遅れの開催という経緯を持ちます。
右は横浜美術館前に展示される「トレーラー」ですが、誰でも目に出来る作品が減れば、子供たちの「これなぁ〜に?」と接する機会も失われるので、縮小もこの辺りが限度ではないかと不安に……(屋外展示物の管理は大変なのも分かりますが)
上のテニスコートは、ネット部分に鏡を配するため自陣しかありませんが、「壁打ちしながら自分のフォームを確認できる!」という施設ではない。
自分との戦いに挑む場だが、鏡に映る自分に勝てるはずもなく、勝負ではなく「自分に挑み続ける大切さ」を訴えるのであろう。
自分の姿に「自信を持て!」の目標が、錦織選手の『自分に勝てた』瞬間としたら、ちょっと「ネット(レベル)高すぎ!」ですが、ツアーファイナル出場権とランキング5位を手にしたプレーには、勇気づけられました!
ロビーには、巨大なカラスが米俵をつかむ姿など、わかりやすい作品が並びます。
現代アートで身近なテーマを取り上げる作品が多いのは、芸術性よりもメッセージ性をめざすためで、身の回りにあるモチーフを利用し関心を集めようとします。
上の作品には、「豚の体はハムじゃないことは分かっている!」と反応することで 、食や家畜について考えるきっかけになれば、との祈りが込められるようです。
新港ピア会場──新港ふ頭(Map)
上は、蒸気機関を持つ祭りの「山車」のようですが、蒸気は貧弱で「やま」はとても動きそうにありません 。
でもその心情は、映画『ハウルの動く城』のハウルに通じる、男子が抱く「ガキっぽい夢」を通そうとする意地のようにも感じます。
大人になっても「ガキ時分の宝物」を大切にしたい心情の普遍性にふれ、「男の単純さ」を再確認します。
右は、カフェスペース天井に展示されるも、その存在に気付くのはひと息入れた後になりそうです。
「横浜港遺産」のハンマーヘッドクレーンはとても好きな構造物ですが、トリエンナーレでしか会えない(埠頭に入れない)ため、記念写真的な印象に……(第3回展)
大きな作品が少ない中、借景を利用した(置いただけ)工夫は買えますし、それがこの町らしさの表現と思えるので、この手の展示を増やすべきと感じます。
右は、会場に使われなくなった「ヨコハマ創造都市センター(馬車道)」で、窓からの淡い光を生かしたいと、会社のPhotoshopで修正(明るさ、コントラスト、レベル、トーンカーブだけ)したもの。やはりプロ仕様は違う……
新港桟橋に海洋地球研究船「みらい」が接岸しており、船尾のアームは「しんかい6500用?」と思ったら、深海潜水調査船支援母船は「よこすか」とのこと。
この船は以前「原子力船 むつ:1969〜93年」だったと知り、ちょっと動揺します。
トラブル続きで放射線漏れ(いまとなっては極微量…)を起こし、廃船後に胴体を切断したところまでは記憶にあるが、 転用後の姿を知らなかったことに怖さを感じます。
突然会った船に「初めまして〝みらい〟で〜す。昔の名前は評判悪いけど、わたし生まれ変わったの!」とか言われても、瞬間的に気持ちの整理は出来ません。
福島県の放射性物質に汚染された廃棄物や土壌の除染〜リサイクルやリユースは必須で、「国で定めた基準」をクリアすれば各地に拡散することは、頭では分かっても初めてのことなので、不安を解消するための心の準備期間が必要になります。
一度汚れた国は、二度と「むく」に戻れません……
追記──沖縄県 海洋博公園(美ら海水族館)の、人工尾びれをつけたイルカの「フジ」が死にました……
推定45歳はイルカでは高齢らしく、天寿を全うしたようです。
病気で尾びれを失った彼女が、支えようとする人々の努力を受け止め、ジャンプを取り戻した際の感動は忘れません!(再会時も受け入れてくれました)
彼女との共同作業により、人とイルカはまた一歩近づけたと思います。
彼女の勇気に感謝! ありがとう……
──フジの姿を描いた映画に『ドルフィンブルー フジ もういちど宙へ』がありました(公式サイトはこちら)。