2008.9.17
【神奈川県】
横浜トリエンナーレ 2008
トリエンナーレとは、3年に一度開かれる現代美術の国際展覧会で、2年に一度開かれるものをビエンナーレと言います。
ですがその動機はご想像の通り町おこし的なもので、今回で3回目ですが資金的な問題等で開催が1年延期されたこともあり、本当の意味で定着するかの判断にはまだ時間がかかりそうです。
今回の会場でも、確保されたスペースの割には空き区画が目立ち、集まりが悪かったのでは? とも思わされ、運営も大変なのかも知れません。
この手の展覧会は性格的に、何かと意表を突こうとするのでどこが展示スペースなのか分かりづらく、くまなく歩き回り「女子トイレ」の張り紙を目にしても「フェイク(偽物)か?」と疑う気持ちを持ちつつ、さまよってしまいます。
逆に「展示はこちら→」等の看板が立っていると、出会いの驚きが失われてしまうのも確かですから、難しいと思います。
上写真はフラフープをドーム状に組んだもの──大阪万博('70)の「みどり館」のような形状、という例えでは古すぎ?
下写真は展示物が面白くない中、そんなブース間の廊下の方が絵的! と感じた「わたしの作品」です。
いまどきの「アート」とは映像が主流のようで、与えられたスペースを映画館のような暗がりにしてスクリーンやディスプレイで映像をたれ流しているブースが圧倒的です。
──真っ暗な部屋で「椅子がありますから注意して下さい」と言われたって、見えないんだものつまずきますよ!
映像はいわゆる「総合芸術」であるとは思いますが、ここで繰り広げられる「動く絵」には尖った主張だけしか感じられません。
それが「アート」と作者は言うかも知れませんが、上映に付き合うということは大変な労力(忍耐力)が必要であること、作者たちの意識の中にはあるのだろうか?
座って見たいと思うものはひとつもありませんでした。
低予算の限られた資源で実現したい気持ちも理解できますが(学生時代そんなことを志したこともありました)、そのためには主張だけではなく、ねられた主題とアイディアが必要であると思われます。
近ごろでは、ネットでもYou Tube等での動画流通が増えてきましたが、動画へのアプローチがしやすくなったという背景があるのかも知れません。
現状の「破壊」から「再生」(これは時流のエコにつながる程度の意識までにしか至っていない)で終わってしまっている印象が強く残ったのと、その先の「再構築」を感じさせられるものが見たかった、というのが感想のようなものです。
わたしが参加出来たのは、下写真程度です。
額縁にいれた鏡を割ったものがいくつも並べてあります。
空間が歪んで、見えるべきモノがそこにないというのは、確かに非現実的であるとは思うのですが……
そんな文句ばかり言うクセに何で行くんだ?
と問われれば、普段入る機会のない場所や建物に接する機会を与えてくれるからです。
右写真の赤レンガ倉庫や日本郵船の倉庫(上の椅子写真の付近)は、普段もホールや展示スペースになっているので入ることは可能なのですが、なかなか機会がありません。
──中に入ると「展示はこちらです」と言われようが、倉庫等の中をあれこれ歩き回ったりしています(それが楽しいの!)。
そして今回の目玉が下写真で、普段入れない新港埠頭客船ターミナルにある「ハンマーヘッドクレーン(50t起重機)」に近づくことができました。
1913年(大正2年)にイギリスから導入されたそうです(現在、使用可能な状態で休止中)。ちなみに佐世保には同時代の250tクレーンが現役で稼働しているそうです。
クレーンのある埠頭(新港埠頭8号岸壁)には結構大きな展示用の建造物が建てられていて、その中には入れるのですが柵から外には出られません。
しかし、柵の外には港湾関係者とは思えない若者がウロウロしています。「なんでやねん?」と思っていたら、隣の建物は東京芸大の校舎なんだそうです。
なるほど、近くの運河沿いにも美術系専門学校の教室があったりしますから、こういう環境の中でアイディアを練るというのは、いい刺激になるのではと思えます。
だったら、普段から一般人も入れてくれよな! と思ってしまいます。
わたしは今回の中では上写真が一番気に入っているのですが、目次では妙な写真を使いました。
英語タイトルにしたこともあり、海外向けにちょっと実験してみたかったので……
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