2009.12.13
【神奈川県】
「まだ、紅葉狩りしてるのか?」と言われそうですが、都心の後に見頃を迎えるという、遅めの場所を楽しみに取って置きました。
紅葉情報等には、「鎌倉イチオシの紅葉スポット」と紹介するところが多いのですが、その場所すら知らなかったので、是非とも行かねばと……
その動機としては、紅葉よりも「歩いてみたい」という気持ちの方が強かったと思います。
覚園寺(かくおんじ)(Map)
今回は、住職さんの長話には付き合わず(拝観せずの意味)、表の写真だけ撮るつもりが、もう正面の木はスッカリ落葉していました。
遅すぎたかと落胆するも、周囲にはまだ色づいた木々もあります。
谷間にある印象ですが、門の周辺は思いのほか日当たりがいい場所なのか、早めに紅葉する樹種だったのかも知れません。
拝観させてもらう境内は、とても素晴らしいと思うのですが、境内は撮影禁止とされています。
ここの薬師堂は、1354年足利尊氏によって再建され、そのまま現存するとされるので、とても貴重なものになります(京都にあった室町時代以前の建造物は、応仁の乱(1467〜1477年)により、ことごとく焼き払われてしまいました)。
確かにその重要性は、目にしてみれば理解できると思います。
文化財は大切ですし、別に住職さんの悪口を言うつもりもありませんが、建造物の外観や庭だけでも撮らせてもらいたいと思うような、季節感のある庭だった記憶があります……
瑞泉寺(Map)
ここは「夢窓国師(むそうこくし)古道場」の石碑が立つ禅寺(臨済宗)で、京都の禅寺や、そこに作られた庭園に通じる精神が感じられることもあり、この季節の表現を感じてみたいと思っていました。 →前回訪問時
門の周辺には大きなカエデ等がありますが(下写真)、庭園内には背丈の低い梅など、早春の樹木が目立ち(スイセンが有名だそう)、紅葉樹は右写真のように低く刈られてあります(背景は竹)。
ここは「庭園」なので、このように盆栽的な姿もあるのかと、興味深く感じられます。
これは想像ですが、下写真や後述の獅子舞で見られるように、カエデ等の紅葉樹は大きく成長し、他の植物の生育を阻害してしまうので、土地の狭いこの地では、せん定した低木として扱われているように見えました。
迫力はありませんが、庭の一角にこの木が一本あるだけでも、季節感を感じられますし、どれだけ心が安らぐことでしょう。
久しぶりに、わび・さび(侘・寂)というのか、「控えめな美しさ」に接した気がしました。
上写真の彩りは、自然が生み出すにしても、とてもぜいたくに色が配されています。緑、黄色、橙(だいだい)、朱、紅。
もしこれが、日当たり具合や、樹種の選択による庭師の計算だったとしたら? もう言葉が見つかりません……
獅子舞(Map)
どちらかというと、紅葉よりも「獅子舞ってどこ?」という関心の方が強かった気がします。
ここは、建長寺奧の山中にある半僧坊(はんそうぼう)から、山の尾根づたいに整備された天園(てんえん)ハイキングコースにある、峠の茶屋の少し下から分かれる枝道沿いにある谷になります。
小学生時分と思いますが、円覚寺・建長寺等の社会見学と、ハイキングを兼ねた行事として(学校側としてもおいしく感じるメニュー)メインコースを歩いた覚えがあります。
神奈川育ちには、経験者が多いのではないでしょうか?
現在でもハイキングコースの設定としては、JR北鎌倉駅〜円覚寺・建長寺〜天園ハイキングコース〜瑞泉寺〜鶴岡八幡宮等〜JR鎌倉駅というのが、人気コースになると思われます。
わたしもそんな認識だったので、何度か歩きましたが、途中の枝道(この獅子舞や、覚園寺へ下る道)を選択することは、考えたことがありませんでした。
何年か前に、メディアで紹介されてから、一躍人気スポットになったそうです。
初めての地になるので、全行程を歩きたいと考え、上述の尾根道となるハイキングコースから下る道を選びましたが、それがそもそもの間違いでした。
どの紹介サイトにもあった「ドロドロ道注意」の表現は、ある程度心配でしたが、枝道に入った途端に急傾斜の「ドロドロ坂道」が始まっています。
「これかっ!」と思った瞬間にはちゅうちょし、しばらく進退を考えてしまいました。
それでも下から、滑ってしまった奇声や、「うわぁ、キレイ!」などの歓声が聞こえてくるので、意を決してズルズル降りていきました。
谷地形ですから、そこかしこからジワジワと地下水がにじみ出ているようです。
獅子舞の名は、山頂の岩が獅子の形に似ていることによるそうで、地名にはなっていないようです。
自生したと思われるカエデの大木が、密集する場所が何カ所かあって、野趣を感じさせてくれる紅葉の名所と言えます。
また、もう少し早い時期には、イチョウが見事だそうで、落ち葉とギンナンのニオイに埋め尽くされた山道がキレイなんだそうです。
下から登る方が多いようですが、登りはよくても下りが大変そうです。
おばさんたちはステッキを準備している方が多いのですが、「何のために持ってきたの?」という使い方になってしまい、渋滞を生んでしまいます。
それにイライラするおじさんが「滑りながら降りてくるんだよ」と叫びますが、「転びたくないからゆっくりなの」とアドバイスになりません。
こちらはドロドロ状況に開き直り、おじさんのアドバイスに山を歩いた昔の感覚を思い出し、ズルズル滑りながら転ばずに降りてくることができました(数日間、階段降りるのがキツかった……)。
谷の入口付近ですれ違った熟年夫婦から、「紅葉はどうですか?」と声を掛けられた会話の後、二人ともズボンの裾をまくりはじめていました。
そんな姿を見て、「紅葉狩りにはドロドロがつきもの」との認識が根付いていると感じたのですが、後で考えると、わたしの靴が泥だらけだったせいかも知れない、と思ったりしました。
──靴の泥落としが大変でしたし、ズボンにはねた泥って、部分洗いの洗剤をつけても落ちないんですね……
この体験からも、京都の貴族たちが手軽に紅葉を楽しめるよう、庭造りした理由が分かった気がします。
当時の紅葉狩りも、結構こんな苦労があったのかも知れませんから、きっと「わらわは、ドロドロになるのはイヤじゃ!」とか言ったんでしょうねぇ……
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