2009.9.20
【神奈川県】
社会機能が停止している連休中に、じっとしているのもシャクなので、2日連続で出かけましたが、これで結構気が晴れました。
これまでも三浦半島を歩いてきましたが、ここからは意識的にも時間的にも、ちと遠い印象のある地域に入っていきます。
バスの運転手さんによると、三崎や城ヶ島方面は渋滞していたそうですが、この辺りは混雑しないという読みは正解でした。
剱崎(Map)
剱崎は、「つるぎざき」(旧)もしくは「けんざき」(新)と呼ばれています。
城ヶ島に近いのですが、訪れた方は多くないのではないでしょうか。
駐車場にはまま車が並んでいますが、利用者の多くは釣り客と思われます。
地名の由来としては、徳川幕府の木材船がこの沖で難破し木材共々沈んでしまい、神社の神主が海に剣を投じて祈ったことで、嵐は収まり、木材が浮び上がったことによるそうです。
でも、船や乗組員はどうなったのでしょう?
1872年(明治5年)に剱埼灯台が、1919年に房総半島の洲崎(すのさき:館山市)灯台が造られ、三浦半島のこの地と洲崎を結ぶ線を浦賀水道とし、東京湾の南限としたそうです。
映画等のカット割り的に写真を並べると、海岸からの坂道を登ると(右写真)、灯台の姿が見えてくる(下写真)、という具合でしょうか(実際につながっています)。
映画で観たような気がしますが(『ツィゴイネルワイゼン』だったか?)、詳細は思い出せません。
近ごろの海辺の写真では、トンビがよく写り込んでいますが、数が多いことは確かです。
食べ物を奪われる観光客もいるらしいいので「トンビに注意」の看板をよく目にします。
雑食性のようで、実態はカラスのようなゴミあさり等をしているようにも思われます(付近にはカラスもいます)。
ここでも「ピー、ピー」鳴いていましたが(空中ではピーヒョロロ)、聞き慣れない分「カァー」よりは新鮮に感じられます。
この地をよく訪れている理由ですが、剱崎から城ヶ島方面に向けて、「剱崎背斜」と言われる地質構造の様子が観察できることによります。
──地層の側方から大きな力が掛かった際、地層がわん曲して変形することを褶曲(しゅうきょく)と言い、その谷の部分を向斜(こうしゃ)、山の部分を背斜(はいしゃ)と言います。
地学を専攻した学生時代には、そんな変化に富んだ地質構造にとても興味を引かれ、足しげく通ったことが思い出されます。
当時、下写真の場所で「バキッと折れた地層」を目にした時には、全身に鳥肌が立っていました。
ですが今回は、太陽光が強すぎるのと、崖に木が生い茂っているため(左側の崖をフレーム切っちゃったし)、「何だかなぁ……」という写真になってしまったので、説明用の線を入れました。
盛り上がっている山の部分が、板粘土等に両側から力を加えた時に盛り上がる部分に当たります。
下側の平らな地層が折れて、山の傾斜の角度で天を仰ぎ、その頂上でまた折れて、逆の角度に折れていく(—/\_)イメージなのですが、伝わるだろうか……
わたしの観察眼も衰えたために、こんな写真しか撮れなかったと言われると、さみしい気がしてきます……
付近一帯は三浦大根畑(現在はほとんど青首大根だそう)で、冬場は一面に「緑の大地」が広がります。
多少は緑があるかと思っていたのですが、ほとんどが褐色の大地でした。
ちょうど今ごろから苗の作付けが始まったようで、所々に苗の保護用シートが張られていました。
冬の景色は壮観です!
以前はかなり起伏のある土地だったと思われる場所を、可能な限り平坦な農地に整備したおかげで、見通しがとてもいい丘陵地という印象があります。
北海道には対抗できませんが、一面に緑の葉が広がる光景を目にすると、「ワーッ」と両手を広げたくなったりします。
そんな光景が頭に浮かんでくると、「冬にまた来なければ」と思い始めてきました……
三浦海岸(Map)
高校時代の印象と思いますが、それまでは江の島・鎌倉の海しか知らなかったもので、「この海、キレイだなぁ」と感じた事がありました。
神奈川県内では三浦半島の先端付近の海が、もっともキレイな海(砂浜の白さを含め)かも知れません。
それは、最も外洋に突き出た地形によるもので、その分、湘南に比べると遠いこともあり、(湘南との比較ですが)人出も落ち着いているように思われます(道路は現在でも渋滞だらけのようですが)。
休日の交通情報で、渋滞個所としてよく耳にする湘南海沿いの「国道134号」は、ここまで続いています(横須賀〜大磯を結ぶ国道)。
都心から離れているからキレイで、遠いから人も少ない、というバランスがちょうどいい地域なのではないか、という気がしています。
また、大地や海を糧に生活している方々(専業では無いかも知れません)が多く暮らしているので、整備も行き届いていて地域には活気があります。
上写真は、カメラを構えているのに、マイペースで歩いて絵に入って来ちゃったおばあさんなので、撮らせてもらいました。
冬の海岸では「大根干し」が風物詩となっています。
特に撮影場所の西側の浜辺には多く、寒風の中砂浜を歩いていると、風にさらされる大根のように身が縮こまってきます……
以前、中学時代の幼なじみがこの辺りで暮らしていて(奥さんの実家)、海でタコを突いたり、浜辺でバーベキューしたりという話しを耳にしていました。
中でも、夏に食べるスイカ(三浦スイカとして知られる)の話しがとても印象に残っています。
自給自足ではないにしても、身近で採れた食材を近所で分け合って楽しむ文化というものが、神奈川県内で存続しているということが、何よりの驚きでした。
訪れてみれば理解できると思いますが、飾りっ気がないと言うのか、結構ストレートでも暖かい印象を受ける人々が多い海辺の町なので、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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