2015/11/02

極楽に求めるもの──極楽寺、七里ケ浜

2015.10.22【神奈川県】

 2カ月遅れの夏休みを取りました。
 新しい作業の流れが見通せず、校了後の週明けの様子に「休むなら今週だ!」と急遽決めたため(どんな職場や?)、無計画でも歩ける近場の鎌倉へ。


極楽寺

 ここは鎌倉七口(七つの切り通しのひとつ、極楽寺坂切通の外側(鎌倉外)にあたるため、鎌倉時代には死骸が捨られる「地獄谷」のような場所でしたが、見かねた幕府要人が霊を慰めるため「極楽寺」を建立します。
 義経のように鎌倉入りを認められない者たちの、様々な思いも鎮められたことでしょう。
 江ノ電を存亡の危機から救ったとされる、TVドラマ『俺たちの朝:1976年』ブームの舞台も極楽寺駅周辺ですから(もう40年…)、名称のように困窮者を救うパワースポットなのかも知れません。

 平日なので江ノ電も混雑しないと思いきや、小学校の社会見学らしき団体がドヤドヤ乗り込んできます(名札には埼玉県栗橋の学校名)。
 現在は、湘南新宿ラインの直通運転があるので(上野東京ラインは鎌倉に来ない)、鉄道路線の社会見学も含めたいい選定とも。
 歴史の見学も大切ですが、海に接する機会が少ないと思うので、海岸ではしゃいでいいんじゃない? とも(海のない埼玉県へのイヤミに聞こえたらゴメンナサイ)。


七里ケ浜

 今回、鎌倉中心の寺社や路地ではなく、極楽寺〜七里ケ浜方面を選んだのは、晴天続きの秋空に誘われ「海+富士山に会いたい!」でしたが、分厚い雲が……
 七里ケ浜の海に浮かぶ、名物の波待ちオットセイ(サーファー)は、以前より腕を上げたようで、小さいながらも狙った波に最後まで乗り切る人が多い気がします。
 ベテランの割合が増えたように見えますが、上がったのは平均年齢だけじゃないんだ、と納得です。
 海の中では(遠いので)若く見えますから、いつまでも若大将を気取れそうです。

 右は、江ノ電の鎌倉高校前駅踏切に群れる、台湾(?)からの観光客。ここは漫画『スラムダンク』の舞台で、台湾では「スラムダンクの踏切」として人気らしい(90年代の放映を子ども時代に見た若者が訪れるそう)。
 遮断機が降りると、一斉に車道へ飛び出してきます。
 写真を撮るのは陸側からなのに、何で海側にも群れるのか理解できなかったが、リンク先の構図を狙いたいようです(気持ちは分かります)。
 これも日本の文化(?)とはいえ、海外にアピールできるのはアニメだけとしたら、ちと寂しい気もします。


 上のような駅舎で旅情にハマると、待っていた電車が到着しても、発車の光景を眺めたくなったりします。
 その後も反対の電車〜もう一本と眺めるうちに、夕刻の景色はもっといいのでは? と、きりがなくなります。
 時間のある学生時代ならいつまでも座っていられたが、「写真は撮れたから、急がねば日が暮れる」と腰が軽くなったのは、「限りある自由時間」が身にしみるオヤジの体内時計のせいだろうか……(切実な意味ではありません)


小動(こゆるぎ)

 江ノ電の魅力は、密集する住宅をすり抜け、沿線住民と空間を共有するような身近さにあると感じていました。
 ですが、そんな空間を整備する際には、いまどきの「管理責任」「安全確保」が求められるため、沿線住民に不便が生じるようです。
 稲村ケ崎駅周辺には、線路が柵で囲われては「津波時の避難路が断たれる」との抗議看板が見られます。
 双方が暗黙の了解で寄り添うような情景に「ほっこり」できたのですが、責任の明確化のために、鉄道事業者と沿線住民の間にキッチリ線引きされると、ノスタルジックな空気が失われてしまいそうです。
 江ノ電だけを特別扱いできないのも確かです……


 小動岬に寄り添うような狭く急な斜面を、船揚げ場とする様子は昔から変わらないように見えます。現在は消波ブロックで囲われた中に、シラス漁の小型船が並びます。
 現在は専業ではないとしても、先人からの施設を利用し、規模は小さくても漁の楽しみ(新鮮なシラスは茹でてもうまいが、生は格別! 新鮮でなければNG)が受け継がれる様は、見事な文化継承です。

 日本の極楽や沖縄のニライカナイは、彼岸(彼方)にある理想郷であるため、その概念には望み過ぎの面がありますが、「不満はあるも、満足できる地」であれば、この地のように身近な場所に築けるのではないか? と感じました……


 追記──工藤監督が求められた、2連覇という「現状維持」

 昨年、日本シリーズを制した秋山監督退任後(個人的な理由)、その戦力を引き継いだ工藤監督は「勝って当然」とされる中、開幕前から持ち前の明るさでチームのムードを高め、最後まで選手を「乗せ切った」手腕は見事でした。
 今年のパリーグ優勝候補と目されたオリックスのような「おごり」もなく、着実にチーム力を熟成させた成果なのでしょう。おめでとうございました!(強かったもの)


 追記──ラグビーW杯 ニュージーランドが2連覇

 日本 vs 南アフリカ戦は9月20日でしたが、決勝はいつ?(11月1日)という長丁場なのに、負けた9月23日のスコットランド戦は「何で中2日?」と、ブツブツ言いたくなりますが、決勝戦の迫力を心に焼き付け、2019年日本大会に向けて取り組まれることを!